隠居生活

だいたいひとりでこじらせてます

ヴァンガードG・GC編15話感想

15話の感想です。いつものように長いです。

 

新導家

新導ミクル

高校生の時にクロノに会いに施設によく訪れてたミクルさん(今までの自分設定)がまさか公式設定になってリアタイしていて変な声が出ました。

 

高校生ミクルさんが無表情のショタクロノの口を引っ張ってる写真可愛すぎたけど、こうでもしないと昔のクロノは無表情だったんだなぁとしみじみ感じます。それが今のように表情豊かになって友達が出来て世界が広がっていってるのはヴァンガードに出会えたからだって知ってるから以前のように強く止められなかったミクルさんのことを思うと胸がつまる。ミクルさんは自分から望んでクロノの家族になるために努力してたし頑張ってたからクロノの事は大切に決まってるんだよなぁ。

 

新導家のつながり

実は前から新導家のライブさんとミクルさんとクロノの共通点なんだろな、とぼんやりと考えてたんですけど、今週のミクルさんの写真を見て笑顔が三人ともよく似てるんだということに気づいたんですよね…。

ライブさんの笑顔も、先週のクロノのラストの笑顔も、今週の写真に写る高校生ミクルさんの笑顔もにかっと歯を出してぎゅっと目をつぶった、よく似ている表情で、ああ、家族だ……としみじみ思いました。

 

ライブさんとミクルさんは兄妹だから一緒にいる時間は長かったので出る表情がよく似てても不思議ではないんですけど、クロノとミクルさんの笑顔が似てるって事はすごいことだと思うんですよね。

クロノが最初の頃は全く笑わなかったのは楽しい気持ちを知らなかったからで、ヴァンガードによって楽しいという事を知って笑顔を見せるようになったけど、その笑顔がミクルさんとそっくりっていうのは、普段からミクルさんを見ていたから可能なことなんだよな…と思います。何故かと言うと家族として一緒に暮らしていると笑顔や笑い方がいつの間にかそっくりになっていくから。笑わない家庭だと子供も笑い方知らずに育っちゃうものですから。そう考えるとクロノは笑う時を知らなかっただけで笑い方は知ってたんだ…。

 

逆に言えばクロノが笑い方を知っていたのはミクルさんが辛いときでも家の中で明るさと笑顔を忘れなかったからで、つまり今の笑顔が眩しいクロノがいるのはミクルさんが今まで頑張ってきたからなんだと思うんです。

ミクルさんは保護者として未熟な面もある事について悩んでたけど、間接的にミクルさんが頑張ってきたからこそ、今の伸び伸びとやれて笑顔の眩しいクロノが存在するんだと。保護者として未熟な面もあるだろうけどミクルさんの今までの努力は無駄じゃなかったってことがクロノの様子から現れてて胸が一杯なんだ…。

 

ミクルさんは何の力もないと思ってそうだしだからこそ日々一生懸命だし、クロノに見返りなんか求めてないだろうけど、そのミクルさんの努力は意識してないところで実ってるのすごくないですか?ミクルさんとクロノは本当の親子ではないけど、確かなつながりのある家族なんです…。クロノにとってはミクルさんはかけがえのない家族で、でもそれはミクルさんも同じで、お互いがお互いに大切で傷付いてほしくないけど、その思いからぶつかって…でもそれは絆を深めるためには大切なプロセスでもあったんじゃないかなと思っています。

 

クロノの決意

そしてクロノにとっての守りたい家族っていうのは即ちミクルさんなわけだけど、そのミクルさんが「クロノが楽しくヴァンガードしているのが好き」って本人に伝えたのは結構大きいと思いました。クロノにとってリューズに挑むということは、自分がヴァンガードと家族を守りたいという気持ちの問題だから、その自分の気持ちを家族であるミクルさんが理解して認めてくれることが一番の決め手になったのではないかなと。

 

きれいごとのようにも見える「どっちかを選ぶなんて出来ない!」という今回の展開ですが、今までのクロノを見ていると納得できるのがすごい。ミクルさんがいてくれたから、頑張ってくれたから今のクロノはいる、でも同時にヴァンガードに出会ったから今の生き生きとしたクロノはいる。クロノを大きく形成しているのがミクルさんとヴァンガードによる繋がりという二つの要素で、どちらかが欠けてもいけない。それを踏まえた上での「どっちも守ってみせる!」というのはクロノ自身の血の通った主義として自分の胸に響きました。メタ的な事を言えば主人公力があると片付けてしまう事も出来ちゃうんですけど、主人公であるまえに「新導クロノ」なんだなぁと改めて感じられる回でした。

 

立ちはだかる壁・新田シン

家族を守ることがどれだけ大きくて重い事なのか知っているシンさんが、子どもが故にその重さを知らずに無意識に背負おうとしているクロノに対して本気で向き合うっていう展開が神でした…というかシンさんという人選が神がかっていました…。

 

ミクルさんがクロノを大切にしているのを知っているからクロノが危険な目に遭うという事はどういうことか、それに大切なものを守ると言うのがどれだけ重いことなのか、両方をちゃんと知っていて伝えられる事ができるのってシンさんしかいないもん。シンさんがミクルさんを呼んだのは、家族の一員としてそこに居てもらいたかったんだと思います。ヴァンガードをしない部外者だからって何も知らせないのは、家族としてあまりに辛いから。しかもライブさんと前例があるならなおさら。そしてクロノには心配して待っていてくれる家族がいるんだということを伝えるためにも。

また、シンさんはクロノやミクルさんにも危険が及ぶ「可能性がある」から真剣になってたけど、明神がシオンの家潰したのはほぼ明らかだから(そしてそれを確信しているのは伊吹のみ)シンさんの予想ほぼ当たってるんですよね…。なので尚更シンさんが入ってくれたのはよかったと思います。

 

そしてミクルさんという守る対象をあえて盾にとり、「自分がいったいどういう危険な事をしようとしているのか」と実感させたうえで、それでもなお覚悟を決められるのかクロノに迫るといういわば汚れ役に身を置くことで、主人公のクロノと対の位置に立ち物語の見る角度を増やし奥行や説得力をつけるという、メタ的に言えば物語に必要不可欠な部分にもなっていると思います。そしてこういう経験の上から成り立つ汚れ役、対立役ができるのは大人のキャラしかいないと思うのですが、そういう意味でもキャラクターの動かし方が本当に凄いな…としみじみ感じました。

 

でも単なる汚れ役ではなく、終わった後に「僕は味方です」と言ってくれる。クロノは大きな決意をしたわけだけど、決してひとりではない。ヴァンガードGは神です(定期)。

 

 

 

そしてこれは自分が思ったことなのですが今週の話は意図せずに旧作4期のアンチテーゼのようになっているのも興味深いと感じました。(私自身は4期のことは好きです。念のため)

 

4期ではアイチが皆に相談することなく独りで抱え込んで、全員の記憶を消して月に行ってしまったわけですが、その時に記憶を消したとはいえ、残していく家族について何の未練はないのだろうか、と当時ツッコまれてましたし、自分も疑問に思っていました。またあんなにも仲間に囲まれていたアイチが、どうして一人で抱え込んでいたのか、あれだけ分かりやすく悩んでいたのなら誰か気付いてあげられたのではないのか?とも思っていました。今回クロノも自分の激情をどうしても優先してしまい、結果家族のことまで気持ちが回っていませんでしたが、そこでシンさんがミクルさん呼んだ上で決意を確かめた経緯を挟んだのはすごい現実的でした。

クロノはリューズと戦う覚悟を決めたけど、そこに至るまでにシンさんとミクルさんという大人兼保護者枠が一旦頭突っ込んでくれたっていうか積極的に関わってくれたプロセスは重要だと思います。

 

 

ディペンドカードを覚醒させるのはクロノにしか出来ないことだけど、そのクロノもひとりの子どもであり、心配してくれている家族が居る。その事をちゃんと教えられるポジションにいるのは年齢的に考えてみて大人です。そしてちゃんと伝えた上でクロノの主張も尊重してくれる。すごい。

 

じゃあなんでシンさん4期は空気だったの?という意見も見ますが、私の考えとしては辻監督と梅本監督の大人の動かし方の違いだと思ってます。(メタ的ですが)無印とGの最大の違いは大人の描かれ方じゃないかなと思ってます。

 

伊吹コウジ

今回の話で力関係がミクルさん>シンさん>伊吹だったのがすごく新鮮でした。いつも何でもできる謎の男という印象の強い伊吹も、自分より年齢の高いキャラと一緒にいると年相応の20歳になるんだなと感じました。

 

黙って静かにミクルさんに頭下げた伊吹を見て、1期のタイヨウくんの「伊吹さんはユナサン支部に戻って来た時、何を言われても言い訳しなかった」ってセリフをじんわり思い出しました。

伊吹は状況の説明はするけど自己保身のための言い訳はしないんだよな~……伊吹も贖罪のためだったり罪悪感があったりして言い訳なんかできるような心境でもないんだろうけど。

 

それにしても伊吹の曇り顔がなかなか意味深でしたが、あれはどういう意味なのか…。

出来ることなら自分がなんとかしたいのに、今与えられている試練はクロノでないと乗り越えられないことを気にしているのかな?なんだかんだでクロノを危険な事に巻き込んでる負い目があるから肯定的な態度が取れないのかな?いつかその意味も明かされるといいなと思ってます。 

 

そしてあの謎の廃墟の真相が明かされるのも心待ちにしてます。