隠居生活

だいたいひとりでこじらせてます

ありがとうヴァンガードG

とうとう最終回を迎えました、ヴァンガードGストライドゲート編。

一番衝撃だったのは直前に発表された制作陣が一新するということでした。

もちろん新しいスタッフさんたちが手掛けるNEXTも楽しみなのですが、唯にゃんやトムスさんの作られる世界が好きだったので寂しさもあり…。

なので最終回の感想もかねて、自分がGで好きだったところを上げていきたいと思います。

 

といっても一言に尽きるともいえるんですけども。

完成度の高いストーリー

自分がGが好きな理由はもうほぼこれだと言っても過言ではないです。

こんなに丁寧に書かれた作品を二年間も追いかけられたのは本当にうれしい。

その具体的な例をこれからあげていきます。

 

 

トライスリーの変化と成長

物語の主軸ともなるクロノ、シオン、トコハ。はじめの頃は喧嘩ばかりしてドライスリーなんて言われてましたが、回を重ねることで絆が深まり、馴れ合いじゃない、本当に信用しあえるチームとして成長してくのが本当に丁寧で、尊かったです。

仲間だからってすべてを打ち明ける必要はないし、全員が全員同じ思想を持っていないといけないわけじゃない。

クロノにはクロノの、シオンにはシオンの、そしてトコハにはトコハのそれぞれの事情や正義があって、個人の主張や正義に介入することはないけど、お互いの意志は尊重し、かつ自分の意志も主張し、そのうえでチームとしての団結力はあったトライスリーを見て、コミュ力ってこういうのを言うんだなとしみじみと感じました。

 

クロノ、シオン、トコハそれぞれ経験を経て成長していったわけだけど、一番著しいのはやっぱりクロノ君じゃないのかなと。

はじめの頃は孤独だと思ってて人と関わることを避け、将来の夢は自立で一人でも生きていけると思っていたクロノ。

それがヴァンガードを通して色んな人たちと関わるうちに、人とファイトして分かり合うのが楽しいということ、そしてなにより自分自身の秘めたる可能性に気づけたこと。これがぐんと成長したところだなと思います。

 

最初の頃はミクルさんにも迷惑かけたくないから、すぐにここを出ていくつもりだと、自室の棚には何も置いていなかったクロノが、最終回では今までの思い出のグッズや本、カードや写真で賑やかになっているのが胸に来ました。

クロノ君の空っぽだった心は二年をかけてこんなにもいっぱいになっていったんだなぁ…。

 

 

大人が活躍するアニメは神アニメ

上に尽きます。責任を取るのは大人の役目だとクロノたちがユナサン支部に突撃するのを反対したドラエンのクランリーダーたち、もし失敗したら君たちが傷ついたら?と諭しながらも憎い演出で背中を押した大山支部長、クロノを引き取り女手一つで頑張っているミクルさん、クロノがヴァンガードをやめようか悩んでいるときに厳しくも優しくアドバイスしてくれたシンさん、シオン坊ちゃまをいつ何時でも支えていた首都高の狼こと岩倉さん、みんなの楽しいヴァンガードを守るという信条をどんな時でも曲げなかったマモルさん、そしてクロノたちが進めるように陰で暗躍していた伊吹……下手に出しゃばらず、かといって無能化にもならず、おいしいところをちゃんと押さえて活躍する大人陣。大人が活躍するアニメは神アニメ。

 

活躍する、というのは決してプラスの方向だけのことではなく、その最たるものが明神リューズ。彼は大人というよりかは精神はあの子供の頃のままで止まってそうな気もしますが。

彼は「この世界から争いが消えることはない。だからみんなが幸せになるには幸せな夢を見続けるしかない。」という極論に達してしまった、そして知恵があるばかりにそれを実行しようと思えば出来てしまう男だった。

世界が幸せになるにはどうしたらいいのか…と突き詰めてしまう言わば優しすぎて、また独善的な人間だったなと思いました。でもあそこまで自分の主張を貫くキャラはいっそ清々しかった。

 

 

人間はそんなにすぐには変わらない

カードファイトで負けた場合、大抵は改心するパターンが多かったんですけど、ファイトに負けたからって簡単には個人の性格や主張は曲がらなかったのがGの面白いところだった。

ドッグトレーナーがクロノに負けたとき、タイヨウはクロノにつくどころかドッグトレーラーに感情移入して付いていった。リンちゃんはトコハに負けてもあの性格のままで、東雲もシオンに負けても改心するどころかますます情熱に火がついていった。神崎支部長も負けたからってあの支部長っぷりが最終回まで消えることはありませんでした笑

 

また「負け」は必ずしも自身を否定する負の効果だけを思っているわけではないのもGの面白いところだと思います。

カムイ戦や伊吹とのファイトで勝つことで自身の成長を示したクロノ、責任が取れないからとヴァンガードをやめるといった時にクロノと本音でファイトしあい自身の本当の気持ちに気づけたシオン、ふさぎこんでいた時にリンとのファイトで目を覚ますことができたトコハ。

また変な言い方すると「負け」の描写が上手いと思うんですよね。ファイト描写とファイトの後にファイター同士に何が生まれるかが重点に描かれているから、勝ち負け自体にはあまり目線がいかないようになってると思っています。

 

良くも悪くもファイトを一回しただけじゃ人の性格は変わらない。そういう意味では「勝ち負けだけがすべてじゃない」を地で行っていたと思います。

 

 

容赦なく盛り込まれる闇の要素

そして朝アニメらしからぬ盛り込まれる闇要素。何が闇って何が良くて何が悪いかと一概に言い切れないところ。そして曖昧が故にリアル感が漂っていたところ。

クロノのポイントはく奪事件、タイヨウのユナサン支部での事件、シオンのお家騒動、ヒロキの過去、アムの罪、そしてリューズのあれそれ。

クロノのポイントはく奪事件は不正をした側がもちろん悪いのだけど、手を出した以上加害者と見られても仕方ないともいえる行動をとってしまったクロノ君が、クロノの性格がわかるが故に歯がゆかったし、シオンの家はく奪はリアタイ当時の葬式っぷりは半端なかったです。

 

そしてヒロキの過去については演出が完全に深夜アニメ。弱いからこそ何か外部の絶対的な何かにすがりつきたくて、その結果が自分の正義に固執する守山ヒロキなんだろうな。ヒロキが守っていたのは世界の平和ではなく自分自身の精神的な平和だったんだ…

 

アムは幼少期に両親が植物人間になってしまい、誰も信じる人がいなくなってしまったが故のあの一連の行動なんだろうなと思うと、哀しい人生だったんだろうなと思うし、早いうちに目が覚めて改心出来てよかったと思う。

でも可哀想な背景があるからって許されるのかというとそういうわけではなく、シオンは毅然とした態度で向き合っていたし、アムの罪が許されたわけじゃない。

でもだからこそ諦めちゃいけない。許されないからこそ、償わなくてはいけない。アムの罪を拾ってくれたのが本当に感無量でした。

 

そしてリューズ。最終回を見てリューズへの裁定は文字通りの「生きて償え」なんだなと思いました。リューズが忌み嫌っていた争いも悲しみもある世界でまた生まれ直すこと。またクローンで自分の知恵を映して生まれ変わった時とは違い、今度は本当の意味で死んでるわけだから、今までの彼の、文字通り自分の人生を賭けて貫いていた意志や彼自身の人格が無にかえったのが寂しいというか、謎の虚無感にとらわれました。もう二度と「明神リューズ」はライブと再会することも、償うこともできないんだな。

 

 

聖書との関連性

聖書との関連性が随所にちりばめられていて深読みオタクにとってはとても楽しかったです笑

シオンのファイトの時に、彼のファイトの行く末を暗にほのめかすように現れたシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロの「楽園追放」、伊吹が神崎支部長に捨て台詞として残された「あなたは塵だから塵に帰る」の句。

そして東雲ショウマ。彼は一貫してシオンをほのめかす楽園の蛇みたいなやつだったなぁと。

また最終回のリューズに下られた裁定も聖書になぞられてるんじゃないかなと思いました。聖書にとっての救いは神の怒りから救われることで、罪による報酬はすなわち死。そして、聖書の中で、救いが起こる三つの方法の定義の一つに「新生によって示される救い」っていうのがあって、福音を罪人が信じた瞬間に神を信じる心を持って生まれ変わるっていうのが当てはまるんじゃないのかなと。福音は差し伸べられたクロノの言葉。その言葉を信じたからリューズは新しい生を得たのかなと考えています。

 

 

積み重ねによるカタルシス

これは物語のすべてとも言っても過言ではないので例を挙げるとそれこそキリがないのですが、自分が好きなのはやっぱりカムイさんと伊吹ですかね。

ふたりについては前に長々と書いてるので貼っておきます笑

tukishimax.hatenablog.com

tukishimax.hatenablog.com

今まで積み重ねてきた描写がカチッとはまる瞬間が最高に気持ちよくて胸がいっぱいになりました。最終回のクロノ杯はもう涙が無意識に出てきました…。

 

Gの物語は1期からずっと、ヴァンガードは楽しいもので、それによって人と人が繋がって世界が広がっていくという前向きなメッセージを一貫して謳っていて(時々唯にゃんの性癖も入ってたけど笑)、ぶれなかったのがすごいと思います。

 

 

 

細かいところを上げると本当にキリがないので笑 これまでにしておきます。

本当に丁寧で熱量を持ったアニメだったと思います。二年も追いかけられて幸せでした。

 

 

Gが始まった当初は色んな憶測でヘイトや叩きがあったけど、それを二年間にわたり、結果的にそれらを感動や感謝や労いの言葉に変えていった唯にゃん及びスタッフの方々には本当に感謝しかないです。

 

はじめはヘイトを溜めてた層も「あれ?Gって面白いんじゃ?」と思わせ、結果胃袋を掴んでいき、今の無料配信で今まで離れていた人たちにも「Gってこんなに面白かったの?何で自分今まで離れてたの?」とまで言わせることが出来る作品はそうないと思います。

そもそもGでも描かれているように、一度ついた印象は負の感情なら尚更払しょくするのはなかなか難しいです。それこそ奇跡が起こらない限り。そんな奇跡をGは起こしてたんだぁと思うし、それは奇跡ではなく、唯にゃん及びスタッフさん方の熱量によって引き起きた必然だったんじゃないかと今は思います。

今まで追いかけて、応援し続けてよかったと、たくさんのものをもらえたと思える作品に出会えて、Gを好きになってよかったと心から思います。

 

 

改めてスタッフの皆さま本当にお疲れ様でした。

素敵な作品を本当にありがとうございました。