隠居生活

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カードファイト!! ヴァンガードG ストライドゲート編 第45話感想

ヴァンガードGストライドゲート編45話「機械仕掛けの神」の感想です。

一言でいうと伊吹コウジの集大成のような回でした。

 

伊吹VSリューズ

招かねざる異分子伊吹と明神リューズとのファイト。

リューズは伊吹が自分のイメージの力が及ばなくなっているのは東雲の仕業だとわかっていたみたいで、思わぬ客にも「審判に選ばれてもいない者が、不遜にもこの地に立った罰を与えてやる」と余裕の様子。

ところでリューズは伊吹に対して何度も罪人と言ってますが、伊吹が自分の理想を壊そうとしている=すなわち悪で罪という認識なのか、それとも伊吹が映画でやったことを把握しているのか、どっちなんでしょうね?

 

ファイトの演出も熱が入っていて見ごたえがありました。あのリューズ(ギアクロ)の特殊能力発動の演出はかなりよかった…。

 

伊吹の贖罪の道と光

まさかアニメで劇場版伊吹に触れてくるとは思わなかった。今までほんのり匂わせていた程度だったのに、黒伊吹が出てきて変な声出ました。

伊吹が昔何をしたのかは映画を見ましょう!

 

『かつて俺は、取り返しのつかない罪を犯した。すべてを憎み、ヴァンガードを滅ぼそうとした。罪の重さに耐えかね、世界中をさまよっていた時、新導ライブと出会い、ヴァンガード、世界の危機を知った。これは運命だと思った。罪を償えと、ヴァンガードが俺に与えた贖罪の機会。ギアクロニクル。これが俺の運命。』

 


「俺がやります。あなたが止めても俺がやる。俺が、俺がやらなければいけないんだ」

 

伊吹はてっきりライブに頼まれてギアクロを渡したりしていたのかと思っていたので、自分から必死に申し出ていたのが意外でした。

でもそれほどまでに伊吹は自分の罪の重さに耐えきれなかったのかなと思ったり。

また逆に贖罪を受けることで自分がまだこの世界にいてもいいと思えるような、そういう精神的な拠り所を無意識に求めていたんじゃないかなと。

そういう自分自身の罪悪感と、純粋なヴァンガードが好きという気持ちとか色々と重なって、今の伊吹の一連の行動につながっていったんだと思います。

 

でも映画の時の伊吹はヲクシズによって(漫画版の設定がそのまま反映されてるとすればそれこそ小学生の事から)洗脳されたも同然の傀儡状態で、今の伊吹は贖罪が人生そのものになっているから、伊吹コウジの人生の本質はそんなに変わらない、何かに縛られているままだったんですよね。まさにLJ使い。



『俺に課せられた使命は、すべての鍵であり、切り札となる少年を見守り、育て、導くこと。だが最初は、こいつが使えなければ俺が代わりにやればいい、正直そう思っていた。心を閉ざし、自分は一人だと思い込んでいる背中が、かつての自分によく似ていて、腹が立ったのかもしれない。だが、お前は次第に、俺の思惑を超越して自分の世界を広げていった。お前の成長を見守るのは本当に歯がゆく、腹立たしく、そして楽しかった。今はもう信じている。あいつは自らの力で成長し、進んでいけると』

 

そんな伊吹の人生の中で一番の想定外だった出来事は切り札となる少年、新導クロノを見守っている間に情が芽生えてきたこと。今まで贖罪のためだけに生きてきたと言っても過言でもないような伊吹の中に、入りこんできた人間らしい感情。伊吹の表情が回を追うごとにだんだんと柔らかく、人間らしくなっていったのはそういう伊吹自身の感情の変化が大きいんじゃないかな。

(クエストの時のスタゲ支部でも伊吹もあの時点でデレマックスだったから、あの微笑も慈愛からくるものだったのに当のクロノは「なに笑ってやがる(-"-)」と反応してたんだと思うと、両一方通行っぷりにじわじわくる)

 


「そのための道を、俺が切り開く」

それ踏まえてのこのセリフですからね。

今までは贖罪のためだけに生きてきたような伊吹が、贖罪とはまた別に、他でもない自分自身の意志で新導クロノの行く道を切り開く役目を果たそうとする。

もうAパートの時点で涙腺がやばかったです。

 

リューズの「他人を解放しようとも自分自身は縛られたままだ」っていうのもその通りだし、それこそ伊吹は承知の上だったのだろうけど、自分の意識してないところで心は救われてた伊吹コウジ…

 

 

伊吹の望む世界

リューズとの白熱のファイトの結果、伊吹はトリクリであえなく負けてしまいます。

リューズの攻撃を受けて謎のイメージの世界へ飛ばされる伊吹。

隣をかけていくのは、かつて本当に楽しかったころの思い出の象徴でもある小学生の櫂トシキ、三和タイシ。そして二人の後を追って走っていく小学生の頃の自分。

そして新導クロノの今までの成長の様子がイメージとして現れます。

 

『ああ、そうか。きっとお前はこうやって、未来を進んで行くのだろうな。
できることなら本当の未来で、この光景を見たかった』

 

伊吹は東雲のいたずらによってリューズの描く理想の世界のイメージを受けない体になっています。ということは、この伊吹が思い描いている世界は他でもない伊吹自身が真に望む世界なんですよね…。

心からの望みが「クロノが成長する光景を見たかった」ことなの本当伊吹自身の欲がなさすぎというか、心情が完全にお父さんで切ない。

そして伊吹のイメージする成長した新導クロノ図がイケメン過ぎて。やっぱり伊吹のイメージ力は伊達じゃなかった。

 

 

伊吹の使命

「だが、俺が今すべきことは、お前に未来への鍵を渡すことだ。

一瞬でいい、起きろ!クロノ・ドラン!!」

 

そう叫んで掲げたのは、以前クリスに頼んで作ってもらったクロノ・ドラン専用の目覚まし器。どういう理屈なのかはよくわからないけど、ギアースに蓄積された新導クロノとクロノ・ドランの波長データを抽出、解析したものらしい。

伊吹がボタンを押すと波長が起き。クロノ・ドランは目を覚まして無事にクロノのもとへと帰ることが出来ました。

 

新導クロノが未来に進むための懸け橋となること。

自分が以前壊しかけたこの世界に希望の道しるべを示すこと。

それが伊吹コウジの使命であり、羨望でもあったんですよね。

 

伊吹は世界を救う救世主にはなれなかったけど、一人の孤独だった少年の道を切り開く鍵の役割して、今度もクロノ・ドランを覚醒させるために体を張ってクロノの道を切り開いたから、そういう意味では救世主だと思うよ!!もっと自分褒めてあげて!!

 

 

 

 

45話は伊吹コウジ回といっても過言ではないほどの最後までチョコたっぷりな回でした。唯にゃんが雑誌で「伊吹に惚れ直すかも!?」ってハードルあげてくるから期待半分不安半分だったけど「誰がここまでやれといった!!ありがとうございます!!」状態でした。頭が上がりませんホント。

 

罪を犯したキャラがメインに据えられたとき、どう扱うのか、どうやって話を持っていくのか、かなり難しいところだと思うのですが、それこそ1期のころからじっくり描いてくれたからこその今回の神回なんだろうなと思います。

伊吹はわかりにくいだけで、いつも真剣にヴァンガードに向き合っていたし、そんな性格だからこそコミュ障でも皆信用してくれたり力を貸してくれたりするんだろうな。と改めて考えさせられる回でした。

 

 

 

追記:ところでクロノ君が冒頭で丁寧に「必ずみんなで帰ってこよう」って強調してたせいでフラグにしか思えないんですが、帰ってこれない第一候補が伊吹なのがもうだめ…ユニットにダイレクトアタックされて気絶しちゃってるけど(まさか死んでないよね?)ちゃんと帰ってくるよな…?EDの2期パートに伊吹がいないのも何だか不安になってきたぞ…