隠居生活

だいたいひとりでこじらせてます

カードファイト!! ヴァンガードG ストライドゲート編 第32話~34話感想

ヴァンガードGストライドゲート編の32話~34話の感想です。

今回は要所をかいつまんでいる感じなので前後が反転してたりしますがご了承ください。

 

ピースメーカーたち

リューズによって選ばれ、そして自分たちの意思でピースメーカーとなることを選択したルーナとアム。しかし、ピースメーカーはクレイのユニットを現実の世界に召喚するためのただのコストであり、ユニットを召喚するのに必要なストライドフォースを吸収されると自身の体にも弊害が生じる。

アムは体に、ルーナは精神に変調が起きて、結果ルーナは自我を失い、ユニットを召喚するだけの存在になってしまいました。

 

本編では笑顔が絶えずみんなの癒し枠だったルーナから笑顔どころか人間としての感情を根こそぎもぎ取っていくというこのえげつなさよ…

 

そしてアムは植物人間状態の両親を目覚めさせ、自身の今までの不幸を帳消しにするために色々とやってきたわけだけど、それが巡り巡ってこのルーナの植物状態につながってしまったと考えるとえぐい…。自分が今まで選択してきたこと、やってきたことが今までずっと自分の心の支えでかえがえのない存在だったルーナを、自分が助けようとしている両親と同じような状態にまでつなげてしまったというのは、アムにとってはこれほどまでにつらいことはないと思う。何がつらいってまごうことなく「ルーナがこんな目に遭っているのは自分のせい」だから。言い訳なんてできないし逃げ場所もない。そしてこれがアムの罪なのかなと思ったり。

しかしルーナはこの後ちゃんと元に戻るんだろうか…。

 

 

安城マモルという人間

そしてそんな自我喪失状態のルーナ、エース扮したアム、そして江西Pもとい江西支部長がリューズに逆らう罰を下しにドラエン支部へ乗り込んできたわけですが、そんなリューズ側の思想を正論でもってぼこぼこにかましたのが安城マモルでした。

 

「僕達の仕事は、ヴァンガードを通じて皆の笑顔を守る事だ!!」


「本当に正しいと信じる事なら、正々堂々とすべきだろう!君達は、普及協会に集まるファイター達に真実を明かす事無く、その力を利用した!」


ヴァンガードが公平で正しいと言うのなら、それを裏で利用するようなマネが、許されるワケがない!」

「何がコストだ!子供達の笑顔を守るのが大人の役目じゃないのか!?ファイターの心と、ヴァンガードを汚した時点で君たちの言葉に耳を傾ける価値など無い!」

 

「そんな薄汚い手でつかみとった未来を、君自身、守るべき人々へ誇れると本当に思えるのか!!」

 

 

ド正論をかましながらかげろうの炎で片っ端から焼き払っていく安城マモルマジかげろうクランリーダー。こっちの思っていたことを余すことなくバジッと言ってくれてかつ勝利まで収めてくれたので正直気持ちよかったです笑

 

一時期は自分も間接的にリューズの野望に加担していたことを知ってショックを受けていた彼ですが、それでも自分の信念を見失わずにいたからこそのこの言葉だと思うと、安城マモルの精神的な強さもさることながら、江西くんに向けた言葉の重みもすごいなぁ…となります。

 

時には迷うことも、自信のない時や自分の信じてたものが揺らぐ時もあるけれど、自分の言葉や考えはちゃんと持っていて、「子供たちの笑顔を守る」という理念を崩さず、そのためには何ができるのか建設的に考え、実際に行動して結果を出すことのできるほどの実力も持っている。それが皆の憧れ、かげろうクランリーダーの安城マモルなんだ…と33話を見て思いました。トコハをかばって大けがしちゃうところもマモルさんらしい。

 

リューズの野望と彼の人間性

一方リューズは再びクロノに接触し、再度自身の野望を明かします。

平たく言うと「憎しみも、争いもない、みんなが平和で心穏やかに笑顔で暮らせる世界をつくること」(どこかの新興宗教かな?)

そして自身の野望が果たされるまでに生まれる憎しみや悲しみは、「尊い犠牲」、つまりコストなのだそう。

すんごく矛盾してませんかね?と思ってたところにクロノの恒例の視聴者の代弁がつきささりました。

 

「けど、お前はシオンの家を滅茶苦茶にした!ラミラビの2人も巻き込んで…俺の親父の事だって…。親父がいなくなったせいでミクルさんがどんだけ今まで…俺だって……。おかしいだろ!?皆を幸せにするためなのに、何で皆を苦しめる!?」

 

ほんまそれな!!って感じなのですが、リューズにしてみればそれは「完全なる未来が訪れれば、全ての犠牲に価値があったと証明出来る」のだそうで、つまり犠牲はつきもので、それもリューズの言う完全な未来が来れば意味を持つのだそう。まったく反省する気ゼロである。コストを抑えるという考えはないのか…。

 

 

そしてその完全なる世界をどう作る気なのかというと、「地球とクレイを結びつけ、運命力を引き寄せ、幸せは地球に、災いはクレイに向けるよう工作することで、地球側が完全に平和になる」という算段なのだそう。リューズクレイの住民完全に敵に回してますがな。(本人もそこは承知の上みたいですが)そんなリューズのやり方に反対して、結果姿を消したライブ。そんなライブに対しても「なぜ彼が私を裏切ったのかわからない」と本気でこぼすあたり、リューズは基本的に自分の信念や理想は全世界の意志であり、反対するものなどいないという考えが根本にあるタイプなのだろうなと思いました。

 

自分の考えは絶対で、もっというと全世界の意志であり願望であり、それが肯定されることが前提としてあるので、彼が主張する理想郷の像もふわっふわなのかなと思ったり。だってみんなが彼の理想を理解していることが大前提だから具体的に説明する気もないだろうし。

 

だから自分は暴力が嫌いだけど、人には平気で暴力も振るう。だって自分の振るっているものは「暴力」ではなくて「裁き」だから。自分に逆らうものは即ち世界に逆らうものであり、裁きを受けなければならない。もしくは「必要な犠牲」という認識で、自分が「暴力をふるっている」なんてこれっぽっちも思ってないんだろうな…と思うと、リューズの人間性ってかなり歪んでるよな…と背筋が寒くなります。リアルにいたらかなり困るタイプだ。

 

そして「地球に幸せと平和を、クレイには逆に災いや不幸を注ぎ込む」つもりらしいけど、ヴァンガードの世界では地球とクレイはお互いに影響しあっているので、クレイに災いが起きれば地球も連動してしまうのでは…?と思うのですが、地球とクレイのそういう面でのつながりについてはリューズは知らないのだろうか、それともそこまで考えが至ってないのか…。

 

 

クレイとのつながり~すべての始まりの場所~

そしてそんなリューズがクレイとのコンタクトを取るために作った機関に出入りしていたのがライブと幼いクロノでした。

 

「クロノ…、君こそが、特異点なんだ」

 

「惑星クレイと、この世界を繋ぐ道を最初に創りだしたのは君だ」

 

リューズの言う通り、最初にクロノドランというユニットとコンタクトを取り、地球とクレイをつなぐ道を最初に作り出したのは、他でもない新導クロノでした。

ただクロノは本当に「イメージ力の強いただの子供」で、たまたまあの時に接触ができた(クロノドラン曰く「僕達の出会いが、キミを特別にしたんだ」)ということなんですが。

 

 

そう考えると、クロノが道を作らなれば伊吹がヲクシズに記憶を乗っ取られてやらかすことだったりもなかったわけで、巡り巡ってそんな伊吹がすべての始まりの少年ともいえるクロノと接触しているというのは、なんだか壮大なものを感じる…。

 

 

伊吹コウジ

今回、ドラエン支部が崩壊したことで、自分のせいでみんなが危険な目に遭ったことついて負い目を感じていたり、自分の道が本当に正しいのか見失いかけていたりと、いつも以上に人間味が出ていて見ていて面白かったです。あとさすがにユニットにダイレクトアタックかまされたら骨折はするよな。カムイに「ちゃんと治せよ!」と煮干しまで差し入れしてもらっていたのにも関わらずギブスつけたまま戦線に復活してるのを見て、本当に自分のことを大切にしないよなぁと思いました。

 

あと伊吹が1期最終回でクロノに真相を伝える場所に選んだところも、ミクルさんにリューズが生きていることや真実を伝える場所に選んだところも、あの事故のあった跡地で、つまり「すべての始まりの場所」なんだなと思うと、口には出さないし自分からアピールすることはないけど、伊吹ってヴァンガードや新導事情にもかなり真摯に向き合ってるんじゃないかな。ライブさんから色々と聞かされて、自分の贖罪の道(自分がヴァンガードのために何ができるのか)を考えて、そうやってずっと行動してきてたんだな…と思うとじんわり来るものがある。

 

致命的に口下手だけどいつもヴァンガードやその未来に真剣な伊吹コウジ…。

 

 

 

 

リューズの無慈悲なスタンガン攻撃によって気絶して拉致られるクロノと、奪還するため乗り込むシオン、トコハ、伊吹。それを迎え撃つカンパニーの面々。来週も楽しみにしています!

 

おそまつさまでした。

 

 

 

 

カードファイト!! ヴァンガードG ストライドゲート編 第31話感想

タイヨウVSヒロキ

 

タイヨウ君とヒロキのファイトは小学生特有のほほえましさと、小学生とは一言でくくれないドロドロっぷりがツボでした。この二人、よく考えたら引っ込み思案で友達ができなかったタイヨウと、いじめられていたヒロキっていうかなりの似た者同士なんですよね。

 

守山ヒロキ

ヒロキがリューズ側についている理由は最初は子供らしく単純に正義の味方に憧れてっていう理由だと思ってたんですが、前回の話でいじめられていた経験がもとにあって、そこでいじめっ子や周囲の子たちに所謂自分の下した「正義の鉄槌」が肯定されたことによって自分のすがるものを見つけたっていうのが下地としてあるというのが、深夜アニメばりの演出によって見せられてそうきたか~~~~~!!!!!っとなりました。

いやだって流石のヴァンガでもあんな風にやるとは思わなかった…

 

 

ヒロキは小学生だから、いわば学校が社会のすべてなようなものだし、そこで今まで全否定されていたことからいきなり全肯定されたら、そりゃあ自信もつくし、ああいう性格にもなるよなぁ…。

 

ここら辺がタイヨウとはちょっと違うところだと思ってるんですよね。タイヨウも以前はユナサン支部で強さこそが正義だと思っていたけど、ユナサンの思想こそが絶対であって「自分の存在こそが絶対」って風までにはいかなかった。それはユナサン支部が老若男女入り乱れるひとつの組織であって、タイヨウはその中の子供という枠にいたからなんじゃないかなと思ったり。

ヒロキの場合は小学校が舞台で、子供でほとんどすべての社会が成立してるから子供のヒロキも強者として立ててたけど、タイヨウは東雲や神崎といったいわゆる大人と一緒の組織にいたことで、そこまで思い上がることはなかったんじゃないかなと勝手に思ってます。まぁ「自信がなくて絶対的なものを欲した結果、自分の掲げる正義に固執していた」っていうのは完全に一致するわけですが。

 

明日川タイヨウ

 

そして何よりそんなヒロキの性格をファイトによって「前の自分と同じだ」と分かって、そのうえで理解しようとするタイヨウ君の精神的な発達の力に驚きを隠せない。1期のころから地味に思ってたけどタイヨウ君はやっぱり聡い子だなぁと思いました。そのまま沢山お日様を浴びてのびのび成長していってほしい。

一般的に自分と性格な面での負の部分が似ている人っていうのは本能的に避けてしまう人が大半だと思うのですが、あえてその自分の一番ダメだった部分が似ている相手に歩み寄ろうとするタイヨウすごいよ…。

 

そういう部分も含めて「ファイトはその人の人間性すべてがあらわれる」なんだよなぁ…

(リューズの言葉を理解せずまま復唱するヒロキと、伊吹のこの口癖の意味を理解したうえで反芻していたクロノの対比?にもじわっとくるものがある)

そしてクロノがタイヨウの後ろで見守っている図が、クロノがブーストしてるようにも見えるのが良かったです。タイヨウ的には後ろにクロノがついているのも精神的な部分で大きかったとも思うけど。

タイヨウくんはクロノからもらった光を存分に浴びて素直に吸収して、それをちゃんと自分のものにして自分の道をちゃんと示して、あの日のクロノさんのように誰かに影響を与えられるようになったんだなぁ…。

 

タイヨウ君は歩み寄る気まんまんだし、ヒロキもまんざらでもないので普通に友達になりそう笑

ヒロキはヴァンガードを正義を執行する「手段」としてしか見てないわけだけど、いつか本当の意味でヴァンガードを楽しいと思えたらいいね。

 

最初ヒロキは性格が歪んでしまったのか…と思ってたんですが、正義を振るうことでみんなに距離を置かれちゃってて、そのことが不安でたまらなかったけど、以前周囲に肯定された自分の掲げる「正義」に固執することで自分を保ってたのかな?と31話を見て思いました。

弱いからこそ何か外部の絶対的な何かにすがりつきたくて、その結果が自分の正義に固執する守山ヒロキなんだろうな。ヒロキが守っていたのは世界の平和ではなく自分自身の精神的な平和だったんだ…

なので歪んでるというよりは、その一歩前の本格的に歪む前の「何がいいのかわからなくなって迷子になってる状態」だったんだなと。

 

そしてこれは1期のユナサンのタイヨウにも、そして今週のアムにも通じる部分でもあるんじゃないかなと思ってます。

 

 

アムとトコハ、そしてルーナ

アムの本心

ルーナやトコハの前で自分の今までしてきたことを明かし「綺場シオンを罠にはめたとき、私は楽しんでた。現実を知らないお坊ちゃまが、ざまぁみろって思った」とまで言い放って二人を突き放したアム。こんなきつい言い方をしたのは、二人をこれ以上関わらせないこと半分、本当に本心なことが半分じゃないかなと自分は思ってます。

 

アムの両親は交通事故で植物人間、自分は幼いころからずっと芸能界で働いてきていて、そんなアムにとってお坊ちゃまで、両親も健在で誰からにも守られてて不自由のない生活をしていた(シオンもシオンで御曹司としての苦労は絶えませんでしたがアムにとっては知ったことではないだろうし)シオンは、羨望と嫉妬の対象になってたのかな?と。

 

ラミーラビリンスの真の理由

ラミーラビリンスはピースメーカー、惑星クレイから召喚されたユニットを操り、ストライドゲートを開く役割を担うというのが真のリューズ側の目的だった。子供たちの中から選ばれた「コスト」でもある。

 

クロノ本格的に狙われてるやつじゃん!ヒロキ君も当初はコスト対象として集められてた可能性もあるじゃん!?江西支部長も18だしギリギリ子供枠じゃん!?子供をコストの対象にするとかリューズ手段選ばないな!?

 

とまぁ色々と爆発しましたよね。華やかなアイドルの真の目的は野望を果たすためのコスト扱いとは…。

 

ルーナとトコハの決別

でもアイドルとしてステージに立っていた時が仮のものだとしても、アムはあの時本心から楽しんでした、そんなアム救いたいと決意を固めるルーナと、そんなルーナを見て「私には何も言えない。自分の信じる道を行って」と背中を押すトコハ。

このシーン、めちゃくちゃ穏やかで静かだから普通に見てたけど、アムの味方でいることを決めたルーナと、それを止めることのできなかったトコハの所謂決別のシーンなんだよなぁ…。

激昂した勢いで決別したとしたら、むしろ冷静になってからまた話し合って…って感じで仲を戻す可能性もありそうだけど、あそこまで穏やかに相手の意見を尊重したうえでの和やかな決別は、二度と同じような関係に戻らないんだろうなぁ…と逆に思わせられる。意見の違いからの決別じゃなくて、むしろ相手を肯定しているが故の決断だから、この別れから再び修復するのはそう簡単にはいかなそうなのが。

 

ルーナとアム

そして独りぼっちの道を選んだはずのアムでしたが、ルーナがアムを独りにさせませんでした。「私がこの手袋の代わりになる」は名言だ。手をつないで実験室に入っていく二人が尊い…。絵面はどうみても手に手をとって海の中に進んでいくみたいな感じですけど(というか状況が完全に死に向かって手をつないでいってるわけだからあながち間違いでもないという)

自分は今までてっきりルーナは光の立場からアムを引っ張り出すのかと思ってたので、まさか一緒に地獄を道を選ぶとは思わなくて普通にびっくりしました。でもよく考えるとルーナはアムを心から尊敬してて、一緒にいたいという気持ちがとても強い子だったな…と考えると、この道を選んだのもわからないわけではない…バッドエンド直行の気配しかしないけど。

 

 

怒涛の展開でした31話。希望と絶望を同時に見せつけられて消化に時間がかかる(というご褒美)。そして次回予告ですでにワクワクが止まらない(いろんな意味で)

おそまつさまでした。

 

 

ありがとうヴァンガードGギアースクライシス編

 

 ギアースクライシス編もとうとう最終回を迎えましたね。個人的な感想としては全編通して最高の一言に尽きるわけなんですが、今回はクライマックスともいえるアルティメットステージの感想を書こうと思います。なのでいつも以上に長いです。もうめっちゃくちゃ長いです。

 

トコハVSミサキ

 トコハとミサキさんは前回の進路相談の時に一回戦ってるし、その時に思いを伝えているから、今回ミサキさんが何も言わなくてもエールだってトコハに伝わっているの良いね…こういう前の話が地味に生きてくる描写がGには多いからホント好き(進路相談会とこの話の脚本の方が同じなので尚更そう思うのかもしれません)

 

 しかしブルームの描写可愛いすぎだったし神だったけど絵面はどう見てもゴリラ集団なの草生える。

 

安城トコハ

 

 トコハは当初むらくも使いの予定だったらしいけど、ネオネク使いになったことで「江戸っ子で勝気だけど同時に乙女で可愛いものが好きな女の子」というキャラ配分になっているのが神がかってると思うし、トコハにネオネクを当てたスタッフには感謝しかないです。

 

 そしてトコハがマモルさんを尊敬してることは常々描かれてるけど、今回トコハのファイトを見たマモルさんが「俺も負けてられないな」って刺激受けてるのを見て、安城兄妹の情報交換しつつお互いに尊重しながら切磋琢磨しあってるの本当に尊いし光しか感じない。

 

ミサキさんのファイト

 

 ミサキさんの記憶能力ファイトって無印の頃もたまにしか描写されてないし、演出も派手にしようが無いから「バインド!」の方が代表的になってしまった感が否めなかったけど、敵に回すとこんなに恐ろしかったんだな…ミサキさんの能力の怖さって敵に回した時にめちゃくちゃ分かる奴だよな…と改めて思ったし、そういう意味でもキャラの描き方が素晴らしいなと思った回でした。

 上手いな〜と思うのは前にトコハの進路相談回で優しく話を聞いてアドバイスしてたお姉さんと描いているから、今回キツめな感じにしても本当に怖いお姉さんではないと、無印から見てる人は勿論だけどGから入った人も分かるところ。

 

 Gは変な言い方すると「負け」の描写が上手いと思うんですよね。ファイト描写とファイトの後にファイター同士に何が生まれるかが重点に描かれているから、勝ち負け自体にはあまり目線がいかないようになってる(と自分は思っています)。

  ヴァンガは主要人物同士のファイト描写が多いからそういう面でもファイトを描くのってやっぱり難しいだろうね。勝敗が全てではないとは言ってもやっぱり好きキャラには勝ってほしいし!ってファンの声も当然あるから、そこら辺の配分は本当に気を遣うだろうなぁ。

 そう考えるとGは1期・2期通して「勝ち負けだけがすべてじゃない」ってことをストーリーやファイト描写で描いてくれてるから説得力あるし好きなんだよなと改めて思った回でもありました。

 

シオンVS櫂

 櫂からもらったジャケットを脱ぎ「綺場シオン」として、純粋に本気で、でもファイトを楽しみながらやっているのを見て「よかったね~!!!」と胸がいっぱいになりました。今までは重い現実や心情を抱えながらの生活だったのを考えると、シオンが心から楽しいと思えたのは本当にいつ頃ぶりになるんだろう…(しかしそれを次の回で打ち砕く脚本のシオンへのゆがんだ愛も好きです笑)(そのことについては後で書きます)

 

 来い!と全力で焚き付けて相手が頑張ったら優しく抱きとめてよくやった…と微笑みかけるとか櫂くんのスキルが進化しすぎている…シオンを文字通り抱き止める櫂くんの包容力の高さは何なの?それどこで身につけてきた?

 

 以前の櫂トシキにとってファイトの強さこそ絶対だったけど、強くなった相手も、何より負けた自分の事も受け入れて、そのうえで「よくやった」と声をかけてるの本当に成長したよな〜と思います。

 成人の櫂くんは包容力抜群で落ち着いてるいいお父さんになりそうな感じがして、あの針鼠みたいだった櫂くんがな〜と思うと感慨深いけど、ショタの時の活発で皆の中心にいた櫂くんを思うと真っ当な成長にも見えて二度美味しい。ショタ櫂くんって密かに近所のおばさんたちに将来いい男に成長しそうとか言われてそうだもんな。

 そもそも櫂くんは元は孤高とは似ても似つかぬ性格で、レン様との諸々から人を傷つけない方法として距離を取ることを選んでいた(さとたく談)から、今の櫂くんは心身ともに成長した故に自分自身を出す余裕が出てきたんだろうな〜と思うと感慨深い。

 

 そして自分が一番心に来たのは、シオンが何度焼かれても負けそうになっても、絶対に目をそらさずに最後まで見届けていたクロノとトコハでした。これはマモルさんも気づいてたけど、トリドラやクミちゃんが見てられない!と目をつぶったり顔を背けたりしてる中で、クロノとトコハは最後までシオンから目を逸らさずに見届けていたの本当にトライスリー…尊い…。

 

  ところで情報局で明かされた、以前ドラエンのGクエストの手伝いをしていたトライスリーが食べていた「まかないカレー」を作ったのが櫂トシキだったという裏設定に思わず吹いたのですが、シオンと櫂くんは間接的とは言えカレーで既に伏線というか接点が出来てたんだなぁと思うと…接着剤ポシが食べ物なのもGらしい…櫂トシキとファイトし終え、ある種晴れやかな気持ちになってるシオンに「君がドラエン支部のクエストの手伝い時に食べていた賄いのカレー作ったの櫂トシキだよ」って教えたいよね〜反応めっちゃ気になる。

 

 

というわけでここまで「トコハVSミサキ」「シオンVS櫂」の感想をだらだら書きました。最後に「クロノVSカムイ」の感想を書きたいと思うのですが、アルティメットステージ以外でも見どころ(というかたぎり過ぎて感想ぶつけたいシーン)があったので、ちょっと話は逸れるのですがここで入れたいと思います。

 

 

東雲ショウマVSシオン

 まさかの刺客、東雲ショウマ。シオンの目の前に本当に唐突に表れてきてびっくりしました。東雲ショウマ、アムちゃんを回収しにいくのが目的っぽそうだったけど、まさかシオンがアムちゃんの後をつけてくるとは…たぶんそれも踏んでそうだな……。

 

 そして綺場家を陥れたことを匂わせるような発言したことでシオンの右ストレートが炸烈!まさか流血沙汰になるとは思わなかった。シオンのパンチ入れてる箇所が全部違うの謎のこだわりを感じるし、利き手じゃない左手で大の男を射止めてからの利き腕での渾身のパンチとか殺意高すぎでしょ(好き)。そして最初の右ストレートでガチ目に東雲にダメージ入ってるのになんかすごく燃えた。シオン君はあれだよね、普段殴り合いの喧嘩しなれてないからキレると力の加減の方法がわからなくてうっかり拳が鳩尾にめり込むタイプだよね。

 

 そして伊吹が止めに入るのも意外だったんだけど、そういえば伊吹も自分の激情にまかせて暴力をふるった結果どういう思いを抱えることになるのか身をもって知ってる(というか今現在その罪を償っている最中だし)ということを考えると、なるほどなぁ…と思いました。こういうまさかの組み合わせによって起こるキャラ同士の化学反応がGには本当に多いと思います。

 

 シオンにぶん殴られて嬉しそうに笑う東雲ショウマからは狂気しか感じないんですが、彼にとってはむしろ嬉しい誤算だったんじゃないでしょうか。

 シオンってどんな状況でも気高さや正義を忘れずにいたけど、(冤罪回でクロノが暴力をふるいそうになった時に「どんな理由があったとしても暴力はだめだ」と止めたレベルだったし)だからこそ憎しみに任せて暴力を振るってしまったシオンは、その時点で自分の誇りを捨てて堕ちたとも見えるんですよね。

 東雲もシオンがブチ切れるのを狙って煽ってたんだろうけどまさかぶん殴られるとは思わなかったろうし、自分の手によって今まで高みを羽ばたいていたシオンの翼が折れたんだから、そりゃあ笑みもこぼれますよ。

 そう考えると本当、東雲って聖書に登場する蛇とか堕天使だよねぇ…言葉を武器に相手を墜とす。手は出さない。東雲はヤンホモとかストーカーとかそういう安直な言葉では言い表せないヤバさが最大の魅力だとも思います。深淵?仄暗い水の底?本当言葉では言い表せないんだけどイメージとしてはそういう感じ。東雲ショウマは神様になりたいそうだけどある意味似たような存在にもなってると思うよ…。

 

 そして何より櫂との決戦でファイト楽しい!!ってなってたシオンに憎しみのままに人をぶん殴らせる唯にゃん性癖出てるな~~!!と思います!!好き!!!

 

先導アイチ

 前後が逆転して申し訳ないんですけど、これだけは書いておきたかった。先導アイチ。いきなりブラブレライドのイケメンアイチばあああん!!!!って出てくるものだから何度見ても慣れないし心臓持たない。

 満を持しての登場がブラブレライドっていうのがもう感無量だし、ブラブレアイチは小学生の頃のいじめられっこだったアイチの理想としていた姿だったけど、もうその理想の姿と今のアイチの姿って心身ともにそんな大差ないんじゃないかと思うと…。

 小さいころに思い描いていた理想の姿は、いつのまにか今の君の姿になってた先導アイチ尊い…。

 

 ファンミから「ファンの方々の並々ならぬ愛着や色々な意見があることは承知している」という回答が出るあたり、ファンの傾向とかもスタッフには筒抜けだし(というか所謂公の場所でもそういうコメントを残している人が見られる時点で隠れるも何もないんだけど)、そういうのを考えたら本当にスタッフは展開するうえで色々と議論されたんだろうなと思います。

 ニコ生で唯にゃん監督は「Gはクロノたちの成長の物語です」とおっしゃってたし、作品を見てもスタッフの方々がGのキャラクターをとても大事にされてるのも手に取るようにわかる。そのうえでファンのついているキャラをどう扱うかについては、本当にさじ加減のほどを考えるの大変だったろうな…と妙な邪推もしたり。

 だから今回のアイチの出し方も相当考えられたうえでの演出だろうなとは容易に想像つくし、まあ色んな意見もあるだろうとは思うけど、Gの世界にアイチは出てこないだろうな……と思ってた自分にとってはご褒美でしかなかったです。

 

 また自分はアイチが仲間外れにされてるとは思ってないというのもあります。物理的には離れてるけどちゃんと仲間たちと連絡取り合ってるし、そばにはラティもいるし心はつながってるから。何よりアイチ自身がアメリカを勉学を学ぶ地と選んで留学したわけだし。4期はアイチ自身がある意味絶望して自分自身を永久に封印するという選択ととったという本当の意味での孤独だったわけだけど、Gのアイチはそう考えると未来を見据えて行動できるように成長した男であり、一人でも立派に活動できるようになったということなので、むしろ孤独とは真逆だと思ってます。

 

 

閑話休題

 

クロノVSカムイ

 もう「最高」…この一言に尽きます。この二人の対戦を最終回にもってきてくださるなんて、本当に頭が上がらないです。ありがとうございます。

 

カムイの想い

 

 実はカムイがクロノと出会ったのもシンさんとかの企みの上でかと思ってたんですけど、二人の出会いは本当に偶然だったことが先週で分かって尊さが爆上がりでした…。そりゃあカムイも可愛がるわ…。そもそもカムイが伊吹の作戦に気づいたのはあの伊吹がディマイズコーチ時代の偶然の出会いからだったし、そう考えるとカムイって本当にほぼ巻き込まれる形で関わってない?

 そう考えると、Q4の時は子供で見てることしか出来なくて、今度は伊吹から話を聞かされて可愛い後輩が危機に陥るかもしれないのに、また黙って見ているだけなんて…っていう思いからの進路相談回の「俺が代わってやれたら…」だったんだなって分かって…カムイ……。過去の伏線や明らかになった事実によってセリフに重みがガツンと乗る演出大好きです。

 

 カムイは本当に偶然に巻き込まれる形で関わってるだけだから、別に目を逸らそうと思えば全然可能だけど、それをせずにむしろ「代わってやれたら…」って思考になるのが本当に「誰よりも強くて誰よりも優しいカムイさん」だよなぁ…可愛い後輩が危険な目に合うってわかってて以前とは違って止められる立場にいるなら、死ぬ気で止めるよなぁ…。

 

「カムイ君の五年間の立場や気持ちがよく出ている回でした」

 

 もうスタッフさんのこの一言に尽きるし、カムイの5年間すべてを含めたから、そして成長したカムイがGでクロノを導いていた過程があるからこそ重みのある回でした。

 カムイの多感な時期にいろいろと見てきたことやその時の思いも、それから成長してクロノを目にかけていた過程も全部含まれているからこそ神回になってるんだと思うと、Gスタッフからリスペクト魂感じるとかそういうレベルじゃない。

 
 クロノの決意
 
 そしてクロノはというと、今までお世話になってきたカムイに対して「今までもらったもの、ここまで来た自分のヴァンガード、カムイさんにすべて届ける!」という強い思いでファイトに挑んでいたのが最高に熱かったし最高でした。ありがとうございます。
 カムイは自分が何もできなかったことに対してもどかしさや悔しさを強く感じてるようだけど、カムイの根本にある強さや優しさは間違いなくいつもクロノを導いていたし、そのことについて他でもないクロノ本人がわかっているのやばい…。

 

 クロノがカムイに勝利したら、今までのカムイのクロノにやってきたことがすべて無駄ではなく、ひとつ残らずクロノの成長につながるものだったって証明する何よりの証になるんですよね。

 ヴァンガードを教えただけじゃなく最初の頃の人との打ち解け方が分からなかった時とかチームの事とか、クロノが自分一人でどうしようも出来ない時はいつもカムイがアドバイスや先導してたのを考えると、「あんたがいなかったら今の俺はいない」って本当にその通りだなぁって…。

 

 クロノのカムイへの精いっぱいの『恩返し』は今までのカムイからもらった沢山の思い出や想いを、ファイトによってちゃんと伝わってるってカムイに届けることだというのがわかって、本当に感無量でした。ツネトの言っていた「本当の弟子なら勝って恩を示せ!」を地で行ってました。

 

 カムイは自分が世話を焼いてたことについて「余計な世話」って言ってたけど余計でも何でもなく、最初の仲間の作り方も楽しいという感情も知らなかったクロノにとっては本当にかけがえのないものだったんだよね…。

 

 

 そしてずっと「自分が代わってやれたら」「代わってやれないのならここで…」「クロノに辛い思いはしてほしくない」って気持ちが大きくていつぞやの櫂くんみたいに負けたら死にそうなんですけど…みたいな笑顔が全くなかったカムイが、クロノのファイト見て、そしてクロノの本気具合を見て笑顔を取り戻して「来い!ノーガードだ!!」という流れになるんですから、もうこっちも泣きますよ。

 

 楽しいという気持ちも知らず仲間の作り方も知らなかったクロノに、ずっと付き添って色々と世話を焼いていたカムイの行為が巡り巡ってカムイの真っ暗だった心を救う展開、弟子が成長して師匠のところにたどり着き懐に飛び込んでいく自分の理想とする師弟関係の具現化だった…。お互いの気持ちがファイトによって通じ合って思わず涙が出ちゃうクロノとカムイ似た者同士かよ~~最高かよ……。

 

 お互いが全力全開でぶつかり、そして同時に相手の心をいたわれるからこそ最高の相乗効果が生まれる、そんなリスペクトあふれる師弟関係。尊くないわけがない。

 

 中の人の演技もこころなしか気持ち入ってるよなぁ…「カムイさんがいてくれたから俺はここにいます。これが俺なりの恩返しですっ…」ってとこホント好き…と思っていたところに中の人の『初めてヴァンガードGの収録をした時、静さんと二人で収録して、未熟だった俺をみててくれて、現場のことで悩んだ時も話を聞いてくれて。そのことを思い返しながら収録しました』というツイートを見てまあ色々とこみ上げてきましたよね…。マークさんも静さんも本当にありがとうございます…。演技も魂入ってたというか、本当に鬼気迫っていて、ぞくぞくした。ありがとございます。

 

 

 

 

 というわけでめでたくギアースクライシス編も最終回を迎えたわけですが、個人的な感想としては、Gは闇堕ちというのはなくて、むしろキャラががギリギリのところで踏ん張っているからこそえぐかったりするんだなと見るたびに実感していました。(そしてそういうところが好きです)また、無印からのキャラをGのキャラと絡ませることについて、本当に苦悩されたんだろうなと作品を見ていて素人ながらに思ったし、完ぺきとは言い難いとはしても「アイチたちの物語は一区着きました」とはっきり明言されていたのにも関わらず登場させてくれた、というのは贅沢の極みだと思ってるので頭が上がりません。何より、無印のキャラが出てくることで一番懸念されてたクロノたちが霞むのでは…という部分は物語上では一切見受けられず、むしろ未知のキャラ同時の掛け合いによって起こる新たな化学反応の連続で、毎週のように「今週のGは神だった…」と言っていた記憶しかないです笑

 

スタッフの皆さま、本当にお疲れ様でした。素敵な作品ありがとうございます。ストライドゲート編に突入していくわけですが、どんな展開になるのか楽しみにしています。

 

おそまつさまでした。

 

 

ヴァンガードG・GC編22話感想

ヴァンガードGギアースクライシス編22話「決戦前夜」感想です。

長いです。

 

まとめとしてはギアースが壊れる前にこっちの脳みそが情報過多で爆発しそうでした。

 

T3と釣り

マコガレイを釣る気満々なトコハとステルス・ミリピード(ゴカイ)を見てドン引きするクロノとシオン。

夕飯を「釣る」という思考回路なトコハマジつよかわいい。

(わざわざ真カレイのことを「マコガレイ」というトコハに江戸っ子の血を感じるし、Gスタッフのそういう遊び心大好きです)

 

のんびりと釣りをしながらその間お互いにほうれんそうを行うT3。

直前の三和の「昔の俺らよりチームワークは抜群だしな」発言がより信ぴょう性を高める…。

 

シオンがエースはアムだったと言った時、トコハがやっぱり信じられないと本音をこぼしたら「トコハがそう信じるのなら、それが多分正解なんだと思う」と返したシオンに一番驚きました。

シオンはエースの罠によって家を失ったのに、反対意見にムキにならずに冷静に対応できているというのも勿論ですが、トコハの意見を否定しなかったというのはイケメン過ぎる。

シオンの出会った「裏の顔を持つ蝶野アム」も、トコハの触れ合った「不器用だけど真面目な蝶野アム」も、正真正銘本物で、どちらかが正しいと決めつけて否定するのではなく、あくまでもお互いの意見や見たものをすり合わせるT3のコミュニケーション力の高さに恐れおののく…。

 

三人とも事情や見たものは異なるし、それを100%共有するのは不可能に近いけど、だからこそお互いを尊重しているがゆえに否定せず踏み込めたり打ち明けたり、お互いと向き合ったりすることが出来る。精神的にはどうみても中学生ではないけど、そのやり取りをしながら釣りをしているという子どもっぽさがアンバランスで、そこがT3っぽいと思います。

 

伊吹とマモル

ところかわってユナサン内部のラボの中。ギアースクライシスを発動させる準備をしているところにやってきたクリスとマモル。

システムに不備があるよね~ということでちゃちゃっと組み込んでいくクリス(以前は天才ということが一つの楔のようだったクリスが、天才と呼ばれることを普通に受け入れているというのも何気に成長を感じる)と、ドヤ顔で伊吹に近付いて行くマモル。伊吹がマモルに一切情報を公開しなかったから今回自分が伊吹の尻尾をとっ捕まえたことについて優越感とかも抱いてそう。

 

「僕は責任をとらなければならない」と、どんどん顔が険しくなっていくマモルに驚く伊吹。普段はいつもかっこよくで穏やかなマモルさんが人を○○しそうな顔を表したらそりゃあビックリするだろうな…(というか今まではマモルのそういう顔を見たことがなかったのかもしれない)。マモルは吹っ切れたというよりは本格的に腹をくくったというほうがしっくりくる。

 

「ファイトするたびに思ってた。君ほどヴァンガードに真剣に、命がけで向き合っている人はいないって」

「…買いかぶり過ぎだ」

「そうかな?」

 

二人は性格も境遇も真逆で、それこそ普及協会という接点がなければ、出会いもしなかったろう。けどただひとつ、だけど「ヴァンガードが大切」という最大のつながりがあり、だからこそマモルは伊吹のそういう根底にある信念や思いを感じ取ったんだと思う。「ファイトはその人間性の全てが現れる」という伊吹の言葉は、他でもない伊吹自身にも当てはまる事だったんなぁと思うと何だか感慨深かったです。

 

一応伊吹にも幼馴染がいますが、自分も幼馴染がいるのでそういう感覚なんですけど「幼馴染」と「友人」というのはカテゴリーがちょっと違うんですよね。幼馴染は自分の過去のことを知っていてくれて、そういう背景があるからこそ許し許されていたり、理解し、またしてくれてたりと、昔のことを知っていることが前提の部分が結構あって、伊吹も櫂や三和に対してそういう意味で心をゆだねている部分もあるんじゃないかと思ったり。

 

そういう伊吹が成人してから、過去のことなど関係なく自分の思いを理解してくれようとする友人に出会えたと言うのは大きいことなのでは…。伊吹自身にそういう意識がなかったとしても知らず知らずの内につながりが出来ているというのはすごいね…。

 

伊吹は自分のことはまったく明かさないし、何を考えているのか分かりづらいけど、伊吹を理解しようとして伊吹の思惑の所とは別の所で行動し、実際にそういう言葉を投げかけたマモルは、伊吹にとってはかなりのイレギュラーな存在ではないかなぁと思います。

 

T3の料理回

まさか本編でシオンのボロアパートで料理をしてご飯を囲む三人が見えるとは思わなかった。ありがとうございます。

綺麗に魚を捌く上に魚を調理する際に、シオンも料理できないからと踏んでまず換気扇の様子を確認するクロノの主夫力の強さは異常。

お釜を持って「私はお米を研ぐ!得意なの!」と言うトコハの可愛さも異常。お嫁さんにしたい。

そして安定したご飯の作画。超美味そう…。

料理の描写を通して三人の性格が垣間見えるのがすごく楽しかったです。

 

クロノと伊吹

そして大会当日。廊下で待ち伏せていた伊吹を見付けて溜め息をつくクロノに吹きました。もうそんなことでは驚かなくなってるのねwww

 

すれ違いざまにクロノに「頼んだ」と託す伊吹。今までは「お前はまだ子供だ」「まだ早い」とクロノを突き放していた伊吹が、クロノがずっと「あいつはいつも一人で抱え込んで、誰にも頼ろうとしない」と思っていた伊吹が、自分に対してそんな言葉を託したら、そりゃあ驚くし、思い切り振り向いちゃうよなぁ…「任せろよ!」ってなるよなぁ…よかったなぁクロノ…ともう近所のおばちゃんみたいな目線で見てました。今週のヴァンガードGは見たいものを全て見せてくれてる感がすごい…。

 そして、クロノのその言葉を聞いてクロノには見せなかったけど思わず頬が緩む伊吹。よかったなぁ伊吹…。

 

このやりとり、1期の初ディマイズ戦の後の廊下の二人のやり取りが思い起こされたんですが、当時と比べると二人共心を開いているし、何より会話になっているというかお互いの言いたいこととか思いがちゃんと疎通しているのを感じで、感無量です。ありがとうございます。

 

先導アイチ

伊吹がギアースクライシスを実行するにあたって、連絡を取った相手。それが成長した先導アイチでした。やっぱりアメリカに留学していたんだな…イケメンかよ…。

話の内容を聞くに、アイチが留学している最中に伊吹からギアースクライシスの協力の要請があったんだなぁと分かって、2期一話のアレとつながったなと思いました。

 

あのいじめられっ子で引っ込み思案の自信がなかったアイチが、心身ともに成長して遠く離れたアメリカという地を学びの場所として選び、そこで元気で平和に暮らしつつ勉強もしているという事実…すごい…ありがとうヴァンガードG。

無印4期のこともあり不穏な予想も色々とあったのですが、ちゃんと暮らしている事がわかってよかった…。「大丈夫、ひとりじゃない」の言葉に心を打たれました。よかった、ひとりじゃないんだ…。

あと宮地への進学の時も思ったんですが、アイチは仲間は大切にするけどなれ合いはしないなあと改めて感じました。自分の目標が確立すると、そこに向かって一直線に努力ができる。楽な方に逸れることなく、自分の人生を考える上でどのような選択を取るのかきちんと考えられる。アイチのそういう所すごく好きです。

 

Q4参戦の時にアイチの場所が空いているのもすごい…となりました。アイチはアメリカで遂行しなければならない事があって、その為に物理的には傍にいれないけど、心は一緒にいるんだなぁと。Gのこういう演出憎いね~!大好きです!

 

明神リューズ

リューズがコックピットみたいなのに乗っているのを見て「お。とうとうガ○ダムか?」と思いましたよね。やっぱりリューズは自身の生命力を犠牲にして何かを成し遂げているように見えるが、真相は果たして…。

 

 

というわけで22話は普段以上に情報過多で、しかもこちらが見たかったものを惜しげもなく披露してくれててびっくりしました…いいの?ヴァンガードG神すぎじゃない?なんかもうここまでしてもらえると感謝の気持ちしか湧きません。ありがとうございます。お粗末様でした。

 

 

真面目に書くキンプリ感想

巷で噂のKING OF PRISM、通称「キンプリ」を自分も観に行きました。

主な概要はこちらをご覧ください。

kinpri.com

前提として私はプリティーリズム・レインボーライブを見ていたので、オバレ(Over The Rainbow)の結成の過程や紆余曲折(という名の修羅場)もだいたい把握していました。でも時を経て自分の貧弱な脳みそがちょいちょい記憶を消していたため、若干の不安もありつつ、まあ頑張ればついていけるかな…?という程度の意識で観に行ったんです。

 

 

ここからちょっと注意書き

※かなり真面目な感じの感想文です。プリズムショーについての言及はほとんどしていません。プリズムショーについては本当に「見てくれ」としか言いようがない。

※その代わりストーリーや内容についてかなり言及している為、本当の意味でのネタバレのオンパレードなのでそういうのが嫌な人は気を付けて下さい。

 

 

 

 

結論としては最高の一言に尽きます。制作スタッフの執念を感じました。

じゃあどこら辺が最高なんだよということで、自分の思うココがヤバいというポイント集めてみました。

 

 

帰って来たOver The Rainbow

冒頭の笑顔でギターを弾きながら歌うコウジと、満足そうに歌うヒロとカヅキを見て元を取ったと思いました。本当に「帰って来たんだ…」とスクリーンを見ながら呆然としていました。最終回で3人の新たなスタートとして結成したオバレが、ステージで女の子たちを魅了しているという事実に既に胸がいっぱいでした。正直心を奪われていたシンくんの気持ちめちゃくちゃ分かる…

あの3人が一緒に日常を送っているということにまず脳処理が追いつかない…そして色気がおかしいことになってる…

自分の一番の懸念だった「だいぶん記憶あやふやになってるけど追いつけるんだろうか」という部分も、適所適所に的確に当時の諸々を思い出させてくれる回想を挟んでくるという完璧なまでの親切仕様によって見事に払拭されました。むしろ回想によって既に前半で瀕死状態でした。

 

一番キタのは神浜コウジにアメリカから映画音楽制作の巨額オファーが来た時に、エーデルローズの抱える巨額の負債を返すためにその仕事を引き受けた事。

一度は裏切りによって絶望し、音楽をつくることから遠ざかっていた神浜コウジがあんなに明るい歌を作れるようになって楽しそうにライブしてただけではなく、自分が生み出す音楽でみんなを護るという選択を取ったという重大さに震えました…コウジお前…ホント…最高かよ…。

 

劇中の回想でちょっとでもオバレに興味を持った方はぜひプリティーリズム・レインボーライブ(全51話)を見てほしい。後悔はさせません。

 

期待の新人・一条シン

プリズムショーという特殊な亜空間であるからこそなしえたETのアレを素でやり遂げたのを見た時、「なんかすごいやつが来た......ただものじゃねぇ……」と思いました。圧倒的な主人公力を見せつけられたぜ…。あとハーレム力が想像以上に強くてどっちかというと自分はそっちに笑いを禁じ得なかった。あいつプリズムショーで現エーデルローズ生を全員抱いたからな(残念ながら比喩じゃないです)。

 

バトンを渡すと言うこと

一条シンに神浜コウジのプリズムショーを愛し、プリズムの輝きに心奪われ編入にまで至ったという道を歩ませてから、終盤で「神浜コウジの意志と覚悟を継いでステージに立つ一条シン」を描く流れが本当に神がかっていて、終始脳内からアドレナリンが放出されていました。ここで重要なのは一条シンが神浜コウジの代役として立ったのではなく、「神浜コウジの意志と覚悟を引き継いだ一条シン自身がステージに立ってショーを見せた」ということなんですよね。

 

そしてこの流れが俗にいう世代交代を意味するのではないかと思った時、あまりの自然さに呆然としました。リアルに力が抜けて上映が終わった後もしばらく立てませんでした。

 

どのジャンルでも絶対というほど荒れる世代交代。(自分もヴァンガードシリーズを追いかけてる身ですけど世代交代のときはまあ荒れました…)古傷を負っている人も多いのではないでしょうか…。そのバトンを渡す作業を劇場版で、1時間という中で成し遂げていたキンプリって何…?天才の所業か…?

 

プリズムショーは言ってしまえばエンターテイメント性とプリズムの煌めき(と勢い)がほぼ全てなのですが、シンくんにバトンを渡す前にがっつりとオバレや周囲の葛藤や現状を見せてくれたことが、自分の脳内がすんなり受け入れた理由かなと思います。

世代交代をしたどこのジャンルでも必ず一回は見た「前世代の後日談や世代交代に至るまでの経緯を一時間だけでもいいから見せてほしい」という言葉を文字通りそのまんま具現化したのがキンプリなんですよね。オバレ結成後の3人の日常を見せつつ、取り巻く環境によって葛藤する姿を見せ、そして自分たちの力の及ばない所は新人という名の次世代に託す。バトンの受け渡しが綺麗な流れすぎて言葉がないです。

 

前世代と次世代が共に何かを乗り越えてバトンを繋いでいく展開、世代交代の役目を果たすために映画というメディアを活用する手法はもっと流行っていいと思います。映画館という特殊空間と限られた上映時間というのはむしろそういう特殊な展開をするのにはうってつけではないでしょうか。

 

ハリウッド行きの電車に乗って星座になった

Twitterなどでもよく流れて来たこのシーン。まあ文字通り「ハリウッド行きの電車に乗って星座になる」んですけれど、他のプリズムショーはエンターテイメント性に溢れていて頭空っぽにしても楽しめるのに対して、このシーンだけはギャグではないと声を大にして言いたい。オバレの無期限休止を締めくくるプリズムショーは本当に大真面目でした。

なぜそう言うのかというと、これは自分が映画館から帰宅して勢いのままにRLを再生していて気付いたんですけど、あのシーンが45話のオマージュだったからです。

 

45話って何?と思われる方も多いと思うので簡単に説明すると、今までは心を殺し自分自身を嘘で塗り固めてステージに立っていた速水ヒロが、様々な人と交流することで自身の今までの行いを悔いるようになり、ステージ上で自身の過去や思いすべてを暴露して、以前にコウジを傷付けてしまったことも謝罪し、その上でショーを披露することで本当の「速水ヒロ」として再出発した神回です。(詳細はググってもらえると嬉しい。実際に見てもらえるともっと嬉しい。)

 

 

で、問題の45話のプリズムショーの様子がこちら↓

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キンプリを見た方は分かると思うんですけど本当に演出がほぼ一緒なんです

 

速水ヒロが本当の意味で出発したステージと、神浜コウジがみんなを護る為に出発したステージの演出を意図的に似せてくるというこの…「出発」を意味するステージの演出が同じなの狡すぎるでしょ………数年の時を経て過去の演出と被せてくる展開で脳汁分泌しまくりました…。

 

そして本当にすごいと思うのは、この出発の意味を持つステージが純粋に頭空っぽにして楽しめるプリズムショーの間に挟まれている効果によって、初見の人にもなんか頭おかしい電子ドラッグみたいなシーンとして受け入れられているところだと思います。

普通は話数を踏んだ上でのこのような過去を踏まえた演出は初見の人はだいたい置いてけぼりを喰らうと思うんですけど、他のプリズムショーがぶっとんでいるせいで、いい意味で隠れてるんですよね…。むしろ初見の人が率先して「ハリウッド行きの電車に乗って星座になったシーンやばかった」と言えるのは真面目にすごいことだと思います。

 

そして更にプリリズ踏まえてる人にはそれがどういう意味を指しているのか分かってしまうこの巧妙な隙のない二段構え。なんなんだよこれ…なんだよこのトリック…45話を再生してもう脱力しました…魂抜けたよ…

 

プリズムショーは全体的にぶっとんでたけど、次の主人公へとバトンが渡される前のコウジを見送る時のプリズムショーは、ぶっとんではいたけど意味のある演出だったな…と改めて思って、本当に力の抜き方・入れ方が計算されてるんだな…と。巧妙すぎる。監督や脚本家の頭の中どうなってるの…。

 

(追記:お恥ずかしながら落ち着いてまたRLを見返したところ、一条シンの初めてとなるプリズムショーのシーンにもオマージュが隠されているのに気づきました。詳しくはレインボーライブを見て下さい。綾瀬なる達の回想の映像に乗せてシンくんにあの主張をさせる演出本当にずるいわ。)

 

「キンプリはいいぞ」

よく見かける「キンプリはいいぞ」という呟き。(正直うんざりしている人もいるのではないかな?笑)自分も観る前は何でそんなに多いんだろうかと不思議に思ってたんですけど、実際に観て分かりました。上でもちょっと書いてるんですが、キンプリは初見だろうが古参だろうが関係なく様々な視点で純粋に楽しめる作品だからです。

 

そもそもキンプリは「プリティーリズム・レインボーライブのスピンオフ」という位置づけの作品なのですが、実際に行かれてる方は初見の人が多いのが最初すごく意外でした。だって普通スピンオフって本編見てたか興味ある人くらいしか行かないでしょ。ぶっちゃけ。

 

で、自分が実際に映画館に行って終わった後に、隣に座ってたお姉さんが「プリズムショーヤバいね!!」って言ってたのが目から鱗だったんです。自分はオバレなどの登場人物の諸々に魂吸い取られていたけど、プリズムショーそのものを楽しみにされてる方が多いんだということをその時に初めて実感しました。

でもそれも制作者の意図するところなのかなと思ったり。キンプリのプリズムショーはかなりエンターテイメントに特化してて、プリズムショー一つで既に純粋な作品として完成されているんですよね。それは初見の人もプリズムショーを楽しめるようにという意図もあるのかなと思います。プリズムショーをそれでも見慣れているはずの自分でも例の蜂蜜のシーンはマジかよ…と思ったもん。(隣のお姉さんはショー中ずっと笑いをこらえてたので振動が伝わってちょっとしたマッサージチェア気分を味わえました。)

 

どうやって楽しむかは本当に自分次第、プリズムショーを純粋に楽しむもよし、キャラたちに思いを馳せても良し、応援上映でサイリウム振るもよし、事前情報のない全くの初見の人でも、プリリズを以前見ていた人も関係なく「キンプリはいいぞ」と言えるというのは本当にすごい。私はもしかしなくてもとんでもない作品を観に行ったのでは…?と帰宅しながらじわじわと感じました。

 

 

今回の映画制作は興行的に崖っぷちの中で、それでも監督をはじめとしたスタッフの愛情によって成立した映画だと聞きました。そして情熱がこれでもかというほどに注がれ、作品の完成度がスタッフの熱意に反映されているという奇跡のアニメでした。キンプリありがとう。

 

そして続編を強く希望します!!!

 

 

お粗末様でした。

 

ヴァンガードG・GC編15話感想

15話の感想です。いつものように長いです。

 

新導家

新導ミクル

高校生の時にクロノに会いに施設によく訪れてたミクルさん(今までの自分設定)がまさか公式設定になってリアタイしていて変な声が出ました。

 

高校生ミクルさんが無表情のショタクロノの口を引っ張ってる写真可愛すぎたけど、こうでもしないと昔のクロノは無表情だったんだなぁとしみじみ感じます。それが今のように表情豊かになって友達が出来て世界が広がっていってるのはヴァンガードに出会えたからだって知ってるから以前のように強く止められなかったミクルさんのことを思うと胸がつまる。ミクルさんは自分から望んでクロノの家族になるために努力してたし頑張ってたからクロノの事は大切に決まってるんだよなぁ。

 

新導家のつながり

実は前から新導家のライブさんとミクルさんとクロノの共通点なんだろな、とぼんやりと考えてたんですけど、今週のミクルさんの写真を見て笑顔が三人ともよく似てるんだということに気づいたんですよね…。

ライブさんの笑顔も、先週のクロノのラストの笑顔も、今週の写真に写る高校生ミクルさんの笑顔もにかっと歯を出してぎゅっと目をつぶった、よく似ている表情で、ああ、家族だ……としみじみ思いました。

 

ライブさんとミクルさんは兄妹だから一緒にいる時間は長かったので出る表情がよく似てても不思議ではないんですけど、クロノとミクルさんの笑顔が似てるって事はすごいことだと思うんですよね。

クロノが最初の頃は全く笑わなかったのは楽しい気持ちを知らなかったからで、ヴァンガードによって楽しいという事を知って笑顔を見せるようになったけど、その笑顔がミクルさんとそっくりっていうのは、普段からミクルさんを見ていたから可能なことなんだよな…と思います。何故かと言うと家族として一緒に暮らしていると笑顔や笑い方がいつの間にかそっくりになっていくから。笑わない家庭だと子供も笑い方知らずに育っちゃうものですから。そう考えるとクロノは笑う時を知らなかっただけで笑い方は知ってたんだ…。

 

逆に言えばクロノが笑い方を知っていたのはミクルさんが辛いときでも家の中で明るさと笑顔を忘れなかったからで、つまり今の笑顔が眩しいクロノがいるのはミクルさんが今まで頑張ってきたからなんだと思うんです。

ミクルさんは保護者として未熟な面もある事について悩んでたけど、間接的にミクルさんが頑張ってきたからこそ、今の伸び伸びとやれて笑顔の眩しいクロノが存在するんだと。保護者として未熟な面もあるだろうけどミクルさんの今までの努力は無駄じゃなかったってことがクロノの様子から現れてて胸が一杯なんだ…。

 

ミクルさんは何の力もないと思ってそうだしだからこそ日々一生懸命だし、クロノに見返りなんか求めてないだろうけど、そのミクルさんの努力は意識してないところで実ってるのすごくないですか?ミクルさんとクロノは本当の親子ではないけど、確かなつながりのある家族なんです…。クロノにとってはミクルさんはかけがえのない家族で、でもそれはミクルさんも同じで、お互いがお互いに大切で傷付いてほしくないけど、その思いからぶつかって…でもそれは絆を深めるためには大切なプロセスでもあったんじゃないかなと思っています。

 

クロノの決意

そしてクロノにとっての守りたい家族っていうのは即ちミクルさんなわけだけど、そのミクルさんが「クロノが楽しくヴァンガードしているのが好き」って本人に伝えたのは結構大きいと思いました。クロノにとってリューズに挑むということは、自分がヴァンガードと家族を守りたいという気持ちの問題だから、その自分の気持ちを家族であるミクルさんが理解して認めてくれることが一番の決め手になったのではないかなと。

 

きれいごとのようにも見える「どっちかを選ぶなんて出来ない!」という今回の展開ですが、今までのクロノを見ていると納得できるのがすごい。ミクルさんがいてくれたから、頑張ってくれたから今のクロノはいる、でも同時にヴァンガードに出会ったから今の生き生きとしたクロノはいる。クロノを大きく形成しているのがミクルさんとヴァンガードによる繋がりという二つの要素で、どちらかが欠けてもいけない。それを踏まえた上での「どっちも守ってみせる!」というのはクロノ自身の血の通った主義として自分の胸に響きました。メタ的な事を言えば主人公力があると片付けてしまう事も出来ちゃうんですけど、主人公であるまえに「新導クロノ」なんだなぁと改めて感じられる回でした。

 

立ちはだかる壁・新田シン

家族を守ることがどれだけ大きくて重い事なのか知っているシンさんが、子どもが故にその重さを知らずに無意識に背負おうとしているクロノに対して本気で向き合うっていう展開が神でした…というかシンさんという人選が神がかっていました…。

 

ミクルさんがクロノを大切にしているのを知っているからクロノが危険な目に遭うという事はどういうことか、それに大切なものを守ると言うのがどれだけ重いことなのか、両方をちゃんと知っていて伝えられる事ができるのってシンさんしかいないもん。シンさんがミクルさんを呼んだのは、家族の一員としてそこに居てもらいたかったんだと思います。ヴァンガードをしない部外者だからって何も知らせないのは、家族としてあまりに辛いから。しかもライブさんと前例があるならなおさら。そしてクロノには心配して待っていてくれる家族がいるんだということを伝えるためにも。

また、シンさんはクロノやミクルさんにも危険が及ぶ「可能性がある」から真剣になってたけど、明神がシオンの家潰したのはほぼ明らかだから(そしてそれを確信しているのは伊吹のみ)シンさんの予想ほぼ当たってるんですよね…。なので尚更シンさんが入ってくれたのはよかったと思います。

 

そしてミクルさんという守る対象をあえて盾にとり、「自分がいったいどういう危険な事をしようとしているのか」と実感させたうえで、それでもなお覚悟を決められるのかクロノに迫るといういわば汚れ役に身を置くことで、主人公のクロノと対の位置に立ち物語の見る角度を増やし奥行や説得力をつけるという、メタ的に言えば物語に必要不可欠な部分にもなっていると思います。そしてこういう経験の上から成り立つ汚れ役、対立役ができるのは大人のキャラしかいないと思うのですが、そういう意味でもキャラクターの動かし方が本当に凄いな…としみじみ感じました。

 

でも単なる汚れ役ではなく、終わった後に「僕は味方です」と言ってくれる。クロノは大きな決意をしたわけだけど、決してひとりではない。ヴァンガードGは神です(定期)。

 

 

 

そしてこれは自分が思ったことなのですが今週の話は意図せずに旧作4期のアンチテーゼのようになっているのも興味深いと感じました。(私自身は4期のことは好きです。念のため)

 

4期ではアイチが皆に相談することなく独りで抱え込んで、全員の記憶を消して月に行ってしまったわけですが、その時に記憶を消したとはいえ、残していく家族について何の未練はないのだろうか、と当時ツッコまれてましたし、自分も疑問に思っていました。またあんなにも仲間に囲まれていたアイチが、どうして一人で抱え込んでいたのか、あれだけ分かりやすく悩んでいたのなら誰か気付いてあげられたのではないのか?とも思っていました。今回クロノも自分の激情をどうしても優先してしまい、結果家族のことまで気持ちが回っていませんでしたが、そこでシンさんがミクルさん呼んだ上で決意を確かめた経緯を挟んだのはすごい現実的でした。

クロノはリューズと戦う覚悟を決めたけど、そこに至るまでにシンさんとミクルさんという大人兼保護者枠が一旦頭突っ込んでくれたっていうか積極的に関わってくれたプロセスは重要だと思います。

 

 

ディペンドカードを覚醒させるのはクロノにしか出来ないことだけど、そのクロノもひとりの子どもであり、心配してくれている家族が居る。その事をちゃんと教えられるポジションにいるのは年齢的に考えてみて大人です。そしてちゃんと伝えた上でクロノの主張も尊重してくれる。すごい。

 

じゃあなんでシンさん4期は空気だったの?という意見も見ますが、私の考えとしては辻監督と梅本監督の大人の動かし方の違いだと思ってます。(メタ的ですが)無印とGの最大の違いは大人の描かれ方じゃないかなと思ってます。

 

伊吹コウジ

今回の話で力関係がミクルさん>シンさん>伊吹だったのがすごく新鮮でした。いつも何でもできる謎の男という印象の強い伊吹も、自分より年齢の高いキャラと一緒にいると年相応の20歳になるんだなと感じました。

 

黙って静かにミクルさんに頭下げた伊吹を見て、1期のタイヨウくんの「伊吹さんはユナサン支部に戻って来た時、何を言われても言い訳しなかった」ってセリフをじんわり思い出しました。

伊吹は状況の説明はするけど自己保身のための言い訳はしないんだよな~……伊吹も贖罪のためだったり罪悪感があったりして言い訳なんかできるような心境でもないんだろうけど。

 

それにしても伊吹の曇り顔がなかなか意味深でしたが、あれはどういう意味なのか…。

出来ることなら自分がなんとかしたいのに、今与えられている試練はクロノでないと乗り越えられないことを気にしているのかな?なんだかんだでクロノを危険な事に巻き込んでる負い目があるから肯定的な態度が取れないのかな?いつかその意味も明かされるといいなと思ってます。 

 

そしてあの謎の廃墟の真相が明かされるのも心待ちにしてます。

 

 

ヴァンガードG・GC編14話感想

ヴァンガードG14話の感想です。今回は人物別に分けて書いています。

 

葛木カムイ

 クロノたちと一緒に居る時はお兄さんなカムイさんも1号店ではマケミに毒づいたり女神に心奪われたりする年相応の高校生のカムイになるんだなぁと思うと感慨深い回でした。女神に勘違いされて待ってくださいエミさぁ~~ん!!!となっているカムイを見たツネトたちが「カ、カムイさん?」と動揺していたところを見るに、そういう振り回されているカムイを見たことがないんじゃないかな~。

 でもクロノたちがリューズの思惑を知って立ち向かうということを知った時にクロノを真っ先に1号店に連れてったカムイさんはマジでイケメンすぎるというか、そこにはやっぱり昔色々と経験して考えてたことが反映されてると思うんですよね。大きなものを一人で背負い込だが故に起こった悲劇を昔に見ているからカムイさんはクロノを1号店っていう自分がある意味で一番信頼しているホームに放り込んだんじゃないかなぁ…。

 と考えるとカムイは本当にクロノについて親身になって考えてくれてるなと思います。良い先輩だ。時々暴走するけど。

 

那嘉神エル

 一号店のショップ大会でクロノの最初の相手となったのがまさかのえるたそ!!!

Gで出て来るとは思わなかったのでリアタイしててびっくりしました

そして相変わらず厨二拗らせててある意味安心(そしてやっぱり何気に強い)

無駄に作画に気合が入っているせいかそのおかげでAパートだけでもうすでに濃すぎてお腹がいっぱい状態でした

ファイト後に「那嘉神さん、大会なんか来て就活大丈夫なんですか?」とタオルを差し出す三和くん

えるたそスーツ姿だったからてっきり社会人かと思ったら就活中なのかよ!!

えるたその苗字普通に呼んでるけど三和くんってえるたそと面識あったっけ?と思いましたが…

「先輩の実力をわかってくれる会社に、いつか出会えますよ」

先輩呼びってことはもしかして同じ大学なのか?

しかしクロノと出会っときに何気に「途方もないものを背負っているな…」と言い当てている辺り、えるたそのイメージ力は馬鹿にはできない

 

森川カツミ・井崎ユウタ

 そしてクロノの二回戦目にあたったのがG3厨、森川カツミ

 濃いな!!!無印バラエティ組そろい踏みかよ!!!

 Gアシストの説明回が入るなら森川かな?というコメントをちょこちょこみたのですが予想通りで笑った。本人がドヤ顔で説明しているのも予想通りだった。

 森川最強デッキがまともに回ってるだと…!?何故だ…からの最強ノーガードで死ぬほど笑った(しかしライド姿は無駄にかっこよかった)。ホント森川のバラエティのクオリティには衰えがない…

 そして井崎のツッコミが威力を増しているのにも笑いました。ハリセンどっから出してきたのww

 

 でも単なるギャグ回かと思いきや原点回帰回でもあったんですよね。

「なぜそこまでG3に拘るんですか…!」と唖然とするクロノに曇りなき笑顔で「好きだからだ!!!」と答える森川。

 G4が出ても「G3最強」の信念は変わらず、そして「Q4が一番」で誇りである事を今も胸を張って言える。自分の好きなものが世間的には不利な状況に置かれていたり、いわゆる過去のもの扱いされてしまってたりして、自分にとって有益にならなくなっても、好きなものを変わらずに好きだと堂々と主張できるっていうのはもしかしたら難しいことなのかもしれない…。と思ったら、森川やエミちゃんの自分が好きなものでファイトしているから負けても笑顔なのってかなり強いのでは?好きを貫き通すからこそ揺るぎないし楽しいんだろうなぁ。

 

 そしてクロノに負けたあとも気持ちよくクロノをブーストする森川と井崎を見てやっぱり気持ちいいなぁと思うのでした。

 

新導クロノ

  今回はクロノと無印キャラとの化学反応がとても面白い回でした。クロノ純粋すぎて不安になるけど悪い人についていっちゃだめだよ?

 クロノくんはヴァンガードが楽しいものだって1期を通じて知っていったけどそれじゃあどうして楽しいと思えるのかって部分がちょっとあやふやなんですよね。これからは楽しいから!という気持ちだけでは守れない事・戦えない事がありそうだから具体的な理由を見付ける期間なんだろうかと思っています。

 1期のタイヨウくんを連れ戻す時にハイメが「勝つことが楽しいって言うのもひとつのありかたなんじゃないかな?どうしてクロノはタイヨウに戻って来てほしいの?」と問うた時にクロノは「よくわかんねぇけど…自分はタイヨウに楽しかった時の気持ちを思い出してほしい」と言っていた。それも当時のクロノが目一杯考えて自分なりに導き出したひとつの答えだけど、それはあくまでタイヨウが以前「楽しかった時期を知ってた」というのが前提としてあって、クロノもタイヨウの口から「ヴァンガードが楽しい」という言葉を聞いていて、かつタイヨウが洗脳されていたも同然だったから連れ戻すという目標が立てることが出来たと思うんですよね。

 今回立ち向かうリューズという人物はまだ全貌は明らかにされてないけど一筋縄でいかないのは確かなので、1期の時に保留状態であった「何をもって楽しいと思うのかはよくわからない」という部分をクロノなりに見付けていくのかなぁと思ってたりします。

 クロノの「ヴァンガードが好き」という理由にはこういう色んなファイターと触れ合って得たものが結びついて行くんじゃないかな…。

 

新田シン

 そして今回のダークホース、新田シン。ちょいちょい目の描写がいきなり入るので心の準備ができない。イケメン過ぎてつらい。

 初めにカムイとお好み焼き屋でクロノがリューズと立ち向かうと聞いた時に、カムイにショップ大会のことを話していたので何か狙いがあるのでは?と思ってたんですけど、Cパートの様子を見るとやっぱりな!!!という感じです。来週色んな意味で楽しみ!

 Gはシンさんの使い方が本当に上手いというか、無印ではどうしても空気がちだったのにちゃんと要所要所で活躍してくれるのが地味に嬉しい…。

 

 

 リューズの企みや行っていることを明かして、お前に何が出来る?という大きな問いかけを投げかけた後に原点回帰で「好きだから楽しい」という気持ちを前面に持って来た構成の上手さにも唸りますが、無印キャラを上げまくるわけでもクロノ世代の踏み台にするわけでもなく、お互いがお互いの美味しい所を引き出してたり掛け合いで新たなキャラ同士の科学反応を起こしてるのが本当にすごい。そして同時に、今まで培ってきた物語や皆の話を経ているからこそ、無印キャラたちの言う事だったりファイトに説得力が増して意味のあるエピソードとして昇華されていて、クロノたちGの関係にも影響を与えているという。Gの構成についてはいつも褒めまくっていますが今回は顕著に出ていると思いました。